SantoStory 三都幻妖夜話
R15相当の同性愛、暴力描写、R18相当の性描写を含み、児童・中高生の閲覧に不向きです。
この物語はフィクションです。実在の事件、人物、団体、企業などと一切関係ありません。

大阪編(2)

 朝っぱらから、見覚えのある人影が、叡電の大学前の駅で黄昏れているのを、俺は見つけた。
 よれよれのコート。は、さすがに着てへんかったけど、省エネスーツ着た、守屋刑事やった。部下らしい若いのを一人つれて、おっさんは斜めになって改札口らへんに立っていた。
「守屋さん」
 無視すんのも変かと思って、俺はいちおう声かけた。
 そしたら、おっさんは、え、なんや、うわあと驚いたようなリアクションで俺を見た。
「本間様」
 なんで様付けやねん。
 俺はツッコミ入れたかったが、なんせ相手は公僕やし年上なんで我慢した。公務執行妨害で逮捕されんで。もう取調室行くのは勘弁や。あそこのコーヒー、せっかく出してもろても不味いねん。
「どないしはったんですか、こんな早よから、もうご勉学でありますか」
 本間刑事にはなんか俺に関するトラウマがあるらしかった。連れの若い刑事もドン引きしていた。
 そりゃあそうやろな。偉そうな上役が、二十歳そこらの坊主にへこへこするのを見たら。
「普通に喋ってくれはっていいです。その節はどうも……」
「今日はおひとりでありますか。あのお綺麗なお方は今日はどちらに」
 しゃちほこばって、守屋刑事は訊ねてきた。なに言うとんねん、おっさん。亨のことか。
 俺はほとんど脊椎反射でむっとした。あいつの話されると、むっとする。特に、あいつの好物そうな年頃の、大人の男に言われると。
 亨はぜったい、おっさん趣味やで。あいつがチェックしてるの、いっつもおっさんばっかりやないか。でも、こいつは関係ないかな。だって金持ってなさそうやもん。
 亨は明らかに、金持ち狙いやで。俺にはそれもムカムカするんや。
 なんであいつは俺を選んだんやろ。おっさんやないのに。
 金持ちのボンボンやったからか。あいつがおっさん趣味なのは、オヤジが好きなんやのうて、金持ってるからやないか。そんな気がして、いろいろ芋づる式に俺はむかついた。
「どちらでもええやないですか。意味なくそんなこと訊かんといてください」
「はっ、申し訳ありませんでした」
 守屋刑事は敬礼して答えた。大丈夫か、おっさん。俺を任意同行したとき、いったい誰から電話かかってきたんや。
「どしたんですか。まだ前の件で、なんかあるんですか」
 辺りには誰もおらへんかったけど、俺はいちおう、声をひそめて訊いた。
 前の件いうのは、大学の作業棟の裏で、女の子の自殺した遺体が出たことやった。自殺やのうて、俺が殺したんちゃうか言うて、このおっさんは俺を任意同行しに来た。その遺体の女の子が、俺の前の彼女やったからや。
 けど、彼女は、俺と付き合いはじめた頃には、実はもう死んでた。それは遺体が物語っていた。俺はどうやら、死人と付き合ってたらしい。理屈にあわへんけど、理屈からいってそうやった。彼女が死んだんは、俺と付き合い始める前の時期やったと、遺体がそう語ったんやから。
 まあ、いろいろあったわ。せやけど俺にとってはもう半年前に終わってしもた過去の出来事やった。
 守屋刑事も当時は、ちょくちょく学内で見かけた。
 作業棟の裏から、もう一人分の遺体が出た言うんで、箝口令がしかれてたなりに、学内でも騒然とした。それはずいぶん古い遺体やったらしい。ひとつめの遺体のための捜査で、やばいぐらい鬱蒼としていた作業棟の裏の竹林が掃除されて、その降り積もった葉の山の中から、もうひとりの女の子が出てきた。その子も自殺なんやろというオチやったけど、あんまり古い骨なんで、詳しい経緯は正直わからんらしい。守屋さんも困ってたみたいやったわ。
 それにしてもうちの大学は、あの竹林を何年放置してたんや。いくら敷地が広くて、金無いいうたかて、あまりにもひどい話やで。掃除はちゃんとやれ。掃除せんかったらな、悪いもんが集まってくるんや。おかんが常々そう言うてたで。
 あかん。また、おかんのこと考えてもうた。いったい、いつんなったらマザコン卒業できるんや。
「美大で遺体が出たいうんで、早朝、あわてて駆けつけたんです」
 俺は守屋さんの話に呆れた。
「死体ありすぎやないですか、うちの大学」
 俺が思わず言うと、守屋さんは痛恨の表情で、何度も深く頷いていた。
「ありすぎですわ。普通、一カ所でここまで人死にが出ることはないです。たまにはありますけどね、なんちゅうかこう、魔の吹き溜まるような場所がですね……」
 何かの読み過ぎやないかというような表現を、守屋刑事はした。しかし、隣の若い刑事さんも、それに頷いてはったから、案外そういうのは、人の死に関わる職業のこの人たちが、いつも実感している事実なんかもしれへん。刑事ドラマや。おかんが好きで子供のころからよう観たわ。機械音痴やのに、おかんはビデオの再生のしかたまで憶えて、必死で観てたわ。「太陽に吠えろ」とか、むっちゃ古いやつ。デカ長とかジーパンとか出てくんねんで。
 この人らも実は、何かニックネームついてんのかな。絶対、コロンボやで。守屋さんはコロンボやって。夏やから、あのコート着てへんけど、あれは絶対コロンボ意識してるんやって。
 そう思うと笑いがこみ上げてきて、俺はそれを噛み殺した真顔で、ふたりの刑事と向き合っていた。
「大変なお仕事ですね。まさか今回は、俺は犯人やないですよね」
 念のため訊くと、守屋刑事は、いかにも気まずそうに、わっはっはと笑って、七三にしてある髪をぐしゃぐしゃにした。
「ないです、ないです。捜査はまだこれからです。遺体を引き取ったところです。我々はついでに軽く聞き込みした帰りです」
「お疲れ様です。頑張ってください」
 興味があるような、ないようなやったけど、自分に関係ない人死にのことを、あれこれ訊くのは無粋と思えて、俺は話を閉じた。
 また人死んだんか、うちの大学で。なんでそんなんやねん。のんきなキャンパスやのに。
「何かご存じないですか」
 頭下げて行こうとした俺に、守屋さんが唐突に訊いてきた。
 それが意外で、俺は足を止めて振り返った。
「何かって、何をです?」
「今回の事件に関して、何でもええのです。何かご存じなことは、ないですか」
 守屋刑事は笑っていたが、その目はなんや、油断ならない光やった。職業的なもんやろか。人を疑う商売の男の目やったで。
 なんで俺が疑われなあかんねん。不愉快やわ。
「今回の事件もくそも、その事件がどういう内容かも知らへんのですよ。何を話せ言うんですか」
「何か感じたりしませんでしたか。最近。昨日も朝早くから学校来てはったんですよね」
 なんで知っとんねん、このオヤジ。調べたな。俺は隠しもせず顔をしかめた。
「いや、そんな怖い顔せんといてください。本間さんは、あれでしょ。その筋の方なんでしょ。せやから、何かこう、常人には分からんような事もですな、第六感でズバリとですな……」
「霊感捜査ですか。テレビ観すぎですよ、守屋さん」
 俺がうんざりして言うと、守屋さんは図星やったんか、照れくさそうに頭を掻いた。案外、かわいいおっさんなんか。少なくとも若干アホや。
「前の事件があんなんやったし、結局、たぶん自殺やろ、みたいな曖昧なオチで、もやもやするんですわ。万が一、犯人おるんやったらどないしよ、ってね。それを霊感でばしっと見つけて、捕まえてやれたら、気持ちええやろなあ、って。ファタンジーですわ」
 そのアホみたいなファンタジーを素直に認めて、おっさんは笑っていた。俺は苦笑した。
「ほんなら、霊感で犯人わかったら、また電話します」
「よろしゅう頼んます」
 本気か冗談かわからんような口調で、守屋刑事は頭を下げた。俺も一応会釈して、改札をくぐろうとした。
「あっ、そうや。ひとつ忘れとったんですけどね、本間さん」
 俺を呼び止めて、守屋さんは言った。
「昨日の夜は、何時頃に帰らはりましたか。疑ってるんやないですよ、皆さんに訊いてるんです。これも捜査の決まり事なんで、すんませんなあ」
 俺は改札に入れる定期を出したまま、なんとなく唖然として、守屋さんを見た。
 この人ぜったい、テレビ観すぎやで。
 コロンボか。帰らせるふりして呼び止めて訊くの、ドラマの刑事コロンボの芸風そのまんまやんか。
 お前の渾名はコロンボやろ。コロンボ刑事や。間違いなくそうや。
「昨日は遅かったです。大学閉まるまでいてました。せやから八時すぎやったと思います」
「何してはったんですか。絵描いてたんですか?」
 さりげないふうやけど、根掘り葉掘り食いついてくる口調で、守屋さんは訊いた。
「ある意味そうです。レンダリング終わるの、待ってたんです。CG科で」
「レンダリングって、何です?」
 ほんまに知らんらしい顔で、おっさんは訊ねてきた。
「計算です。パソコンの。パソコンに絵描かせて、それが出来上がるの待ってたんです」
「はあ。CGっちゅうやつですか。わからん世界や。すごいもんやなあ。けど、本間さんは、日本画の学生さんやなかったんですか」
 眉間に皺寄せて、おっさんは注意深く訊いてきた。
「日本画の学生ですけど。祇園祭がらみのイベントでアート展やる言うて、教授に作品作らされとるんです。それでCG科とコラボするとかいうて、一緒にやっとるんです。知りたかったら教授に訊いてください」
「昨日、ひとりで帰らはったんですか。誰かとご一緒でしたか」
 アリバイかいな。俺はむかつくのを通り越して、なんや面白なってきた。なんで今年になってから二度も、刑事に尋問されなあかんのやろ。よっぽどついてないで、俺は。いや、それとも、何か憑いてるせいか。亨が来てからこんなんや。あいつ、いわゆる疫病神なんとちゃうか。
「途中まではCG科の後輩たちと一緒でした。叡電の出町柳で別れて、そのまま下宿に戻りました」
「ほな、そっから先は今までお一人っちゅうことですよね」
 確認するように言ってきた守屋刑事に、なんて答えるべきか、俺は一瞬迷った。一人やないで。亨と一緒やった。せやけど、俺はあいつを巻き込みたくない。あいつ、万が一調べられたら、どうなるんや。大丈夫なんか。
「それ、答える義務あるんですか。俺が容疑者やっていうなら答えてもええんですけど」
「いやいや、そんな。滅相もないです。つい癖で、訊いてしもただけで。すんません、すんません」
 慌てて笑い、守屋刑事は謝ってきた。
 答えなくてええんやと、俺は思った。
「ちなみに、一緒に帰った後輩いう方は、どなたで……」
 怖々みたいな口調で、守屋さんは言った。そんなビビらんでも。
「CG科の一年の、勝呂すぐろと中谷です」
「えーと、できたらフルネームで……」
 手帳を取り出して書き付けながら、守屋さんは恐縮していた。メモをとられたことに、俺はなんとなく、嫌な予感がした。なんやねん、おっさん。俺もなんか関係あんのか。あるならあるって教えろよ。
勝呂瑞希すぐろみずき、やったかな。それから中谷由香なかたにゆかさんです」
「ああ、そうですか……どうもどうも」
 メモに名前を書き込んだらしく、守屋刑事は、満足そうにそれを閉じて、ごそごそと省エネスーツの内ポケットに仕舞った。
「あのですねえ、本間さん」
 おもむろに、という刑事ドラマノリで、守屋さんはもったいぶった口調やった。
 はよ言えおっさんという目で、俺は睨んでやった。暑なってくるやろ。わざわざ亨を振り捨ててまで、早めに来たのに、九時なってまうやん。俺はさっさとクーラー効いてるとこに行きたいねん。
「亡くなりました。中谷由香さん」
 困ったなあみたいな顔で言うおっさんを、俺は顔をしかめて睨んだ。
 なんやて。今なんて言うたんや。由香ちゃん死んだって?
「可哀想になあ。まだ十九ですやん。一浪して美大でしょ。やっとこれから楽しい大学生活やったのにねえ。それが死んでまうなんて。悲劇ですよ」
「なんで……なんで死んだんですか」
 まさか俺のせいやないよな。
 なんでかそう焦るのは、俺もトラウマがあるせいか。
 それとも由香ちゃんが何となく、昨日の別れ際、微妙やったからか。
 出町で勝呂すぐろとふたり、他の連中と合流して飲みに行くんや言うてた。一緒に来てくださいて誘われたけど、俺はそういうの苦手やねんと言って断った。
 ほんまは早く帰りたかったからやねん。家で亨も待ってるし。けど気まずいから言われへん。何が気まずかったんか、ただ恥ずかしかっただけかもしれへんけど。
 俺の代わりに、勝呂が余計なお世話で答えてた。本間先輩は家にどえらい綺麗な人が待ってるらしいで。せやから、ほっとこ。さあ行こ由香ちゃん言うて、ふたりは出町の夜の雑踏に消えた。
 俺は勝呂が由香ちゃんに気があるんやと思った。他の連中と合流する言う話も、ほんまかどうかわからへん。ついていくのも無粋やで。
 そう思って帰った。それで亨と飯食って風呂入って寝て、みんな忘れてた。そんなん意識してたら亨に怒られる。由香ちゃん、もしかして俺のこと好きなんちゃうかって、ちょっと思ったけど。そんなわけないという気もしたんや。だって俺が生きてる女にモテるわけあらへん。もうそんなひがみが板についてんねんで。
 それにな。由香ちゃんは俺の好みのタイプやなかった。どっちかいうたら派手めの子で、着物なんか絶対似合わへん。祇園祭のときにやたら見かける、お前の着てるそれは浴衣か、それともアホアホ温泉卓球のユニフォームか、みたいな、ショッキングピンクとかハイビスカスの柄のを、くるぶし丸出しで、コルセット並みに帯締め上げて着てる、襟《えり》の抜きがイケてない、こんがり小麦色の女どもに近い。それでも親しく話してみると、可愛い子なんやけど。
 とにかく、浴衣の着付けひとつで内心そこまで思う鬼畜な俺が、つきあえるような相手やない。正直、亨のほうが色白でエロい。もう終わりや。
 だけどまさか死ぬなんて。それは、あんまりや。
「犬に食われたみたいです」
 大きな声で言われへん。そういう仕草で、守屋刑事は深刻に教えてくれた。
「そんなアホな……」
 そんな悲惨な死に方かと、俺は目眩がしてきた。いい子やったで。案外、真面目やったし。そんな死に方せなあかんような子やなかった。
「捜査はまだまだこれからなんで、何もわかってませんが。まあ、事故ですかね、犯人が犬やから」
 プアンと気の抜けた音がして、ホームに電車が入ってきた。叡電の、二両ぽっちのチンケな車両や。その、がたごと走るのどかな景色は、とても人が死んだ朝のようには見えへんかった。
 昨日、これに飛び乗って出町まで戻ったときには、由香ちゃんは元気やった。勝呂のアホな冗談でけらけら笑ってた。カラオケ行って、いっぱい歌うて言うてた。歌ったんやろうか。そして今朝、死んだんか。
「本間さんのこと好きになった女って、みんな死ぬんですかね。自殺とか。犬に食われたりとか」
 刑事は聞き込みで何を掴んできたんか、かまかけてるみたいに、そんなことを言った。そこはかとなく、責めるような含みのある口調やった。
「俺のせいやないです」
 守屋刑事に、俺は言い訳していた。
「そらそうですわ。そらそうです。せやけど本間さんは、その筋の方なんですやろ。神通力で人殺しても、現代では罪にはなりませんけど、でも人としてはどうなんやろ。どう思いはります?」
 気味悪そうに訊いてきた守屋刑事を、俺はただ睨んだ。
 お前は俺が怖いんか。怖いくせに、ようそんな事訊くわ。それも職業病か。犯人いるなら捕まえたい、捕まえたったら、気持ちいいやろうなあ、ていう。
「どんな手使っても、人殺せば罪は罪でしょ。俺はそう思いますけど」
「そやなあ。私もそう思うんですよ。法律に書いてなかったら罪やないなんて、そんなことはないですよねえ」
 キキィッと耳障りな音を軋ませて、ブレーキかけた車両が停まった。
 守屋さんは、去り際の会釈をした。俺はそれに答礼せえへんかった。
「お時間とらせて、すんませんでした。学校行ってください」
 刑事ふたりは、叡電に乗り込んでいった。
 たぶん、出町へ行くんやろ。そして昨夜、俺らが歩いたのと同じ道筋を、歩いてみるんやろ。別にええけど、嫌な話やで。お前の仕業なんちゃうんかっていう目で、人に見られるんは。
 本間のせいやで。
 昔から、時折囁かれてきたその言葉が、ふと耳をよぎって、俺は顔をしかめた。
 不愉快やった。不愉快というより、俺は怖かった。
 まさか俺のせいなんやろか。実はそうなんやろか。俺が由香ちゃん死なせたんか。俺を好きなやつは皆死ぬって、とんだ言いがかりやで。今んとこ、死んだんは一人だけやんか。
 でもそこに、二人目が現れたんかもしれへんと思うと、俺は怖かった。
 二度あることは三度あるて言うやんか。
 亨は、亨は大丈夫やろか。あいつは女やないし、平気なんかな。
 俺のせいで、あいつが死んだら、どうしたらええんや。
 それは嫌な想像やった。
 あいつ、俺の言いつけちゃんと真に受けて、気つけてるやろか。犬に食われて死んだやつもおるんやで。お前もそうなったらどうしよう。
 腹減った言うてたけど、大丈夫やろか。もし今ごろあいつが死んでたら、俺はどうしよう。
 こんなことになるんやったら、こんな早くに来たりしないで、家であいつを抱いてやればよかった。そしたら刑事にも会わず、今ごろ俺は幸せな気分やったろうし、あいつも幸せやったんやで。
 なんで家に置いてきてもうたんやろ。亨。
 そう思うと、今すぐ出町へ戻りたくなってきた。
 せやけど、叡電の電車はいったん逃すと、なかなか次のが来ないんや。それに大学行って、由香ちゃんのこと、どうなってんのか、見るべきか。展示会の〆切も押し迫ってる。それも一体どうなるんや。由香ちゃんが昨日、帰る前に走らせたレンダリングも、もう終わってるはずや。描いた本人がすでに死んでる絵が、知らん間にできあがってる。由香ちゃんの遺作やで。誰かが間違って消さんうちに、確保しといたらなあかん。
 勝呂すぐろのことも心配やった。あいつ、刑事につれてかれたんちゃうか。任意同行や言うて。
 それとも。
 あいつが殺したんか。由香ちゃんを。
 俺はぼんやりそれを考え、気がつくと改札をくぐってた。そして、いつも駅前で買うコーヒーを、買うのを忘れた。


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